2018年5月2日水曜日

グローバル化と英語 その4

ヘブライ文字
筆者が40年ほど前、大学の2年生になった頃、専門課程を選ぶ際に、情報科学科と言う、怪しげな、それでいて、どこかカッコ良さげな名前の学科を何となく選んで進学したのですが、どうやらコンピュータ関係の学科だと気が付いたのは進学して数ヶ月経った後でした(何かの試験前、苦笑)。

 これは、たまに学校に顔を出しても数学や物理みたいな授業ばかりやっている印象が強く、また「情報」と言う文字をまったく別の意味で捉えていたために起こった悲劇(?)でした。
したがって、ITを「イット」を読んでしまうIT音痴の人や、学科名のカッコ良さだけで進学先を選ぶ学生を批判する資格は筆者には全くありません。

現代のリンガ・フランカ


さて、IT分野では英語が共通語、リンガ・フランカになって久しいですが、この傾向は40年前から既にありました。
何か新しい話題を調べようとすると、英語の文献に当たるしかなく、いわば、戦前の医学生がドイツ語で書かれた医学書を勉強していた状況に近いものがありました。(インターネットや自動翻訳ソフトがまだない頃で、紙もの中心の戦前の勉強スタイルに近いものがありました。)
と言っても、英語の専門書は、難しいのは特殊な単語と概念くらいであって、これは英語で書かれているから難しいと言う性質のものではなく、英文そのものは中学生レベルのいたって簡単な文章が中心で、要は慣れの問題でした。

その当時は、主要な国々ではコンピュータ・サイエンス系分野を自国語で教育しており、例えばフランス人はフランス語でITを勉強している、と言った状況で、それで何ら不都合は無く、のんびりした時代でした。

しかしながら、2000年前後あたりから、世界的に、”ITは英語で勉強するもの” と言う風潮が広がり始め、かつて母国語に強く執着していたフランスやロシアと言った国々もあっさりと英語の軍門に下ってしまいます。
米国外の大学でITを教えていると言うアメリカ人から数年前に聞いた話ですが、彼の知る範囲では、自国語でITを勉強しているのは日本と韓国だけと言う状況でした。
それから月日は流れ、今現在の韓国の状況はよく知りませんが、(一説によれば、と言うよりも、よく聞く話によれば、ITでは韓国は日本よりはるか上を行っているらしい)、日本の昨今のITの状況は、ガラパゴス状態をさらに超えて進化が進み、完全に絶滅危惧の状況にあると言えます。

この英語の浸食状況は、単にIT産業だけではなく、IT技術、特にソフトウェア技術、をよく使う産業分野にも影響が波及してきており、宇宙航空産業や自動車産業などのシステム・エンジニアリング分野も事実上、英語圏になってしまっており、エンジニア達は英語のコミュニケーションを強いられる過酷な(?)状況になっています。

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