2013年9月21日土曜日

OCEB講座 第32回 日本型組織と海洋汚染問題 その3

以前、ボストンに行った時の話です。
ある夜、生演奏つきのレストランでディナーパーティが催されると言うので、筆者も参加しました。
 その頃は、元西武の松坂投手がボストンレッドソックスに入団し活躍していた時期でしたので、自然に野球の話題になって行きました。
  斜め前に座っていた男性が筆者にどこのチームのファンなんだ?と聞くので、筆者は「日本を代表する名門チーム 阪神タイガースのファンだ。」と胸を張って答えた所、彼は、「じゃあ、カーネルサンダースの呪いの話を知ってるかい?」と聞いて来ました。
 カーネルサンダースの呪いは、阪神ファンにとっては身の毛もよだつ恐ろしい呪い、悪夢ですが、筆者は、「もちろん知ってるけど、なんでアメリカ人のあんたがそんな事知ってるんだ?」と聞き返しました。
 彼は、「カーネルサンダースの呪いは、アメリカ人ならみんな知ってる有名な都市伝説。特にボストンでは超有名だ。」と言います。
なんでも、ボストンレッドソックスには、似たような都市伝説「バンビーノの呪い」と言うのがあり、バンビーノと言うのはニューヨーク・ヤンキースで活躍した有名なベーブルースのあだ名だそうで、彼がレッドソックスから当時弱小だったヤンキースに追い出された際、レッドソックスに呪いをかけて80年以上もの間優勝できなくしてしまったそうです。
 悪事千里を走る: いい話はなかなか伝わりませんが、悪い話はあっという間に地球の裏側まで伝わります。
阪神タイガースの暗黒時代の話まで、全米に伝わっていたとは。

それにしても、カーネルサンダースと言い、ベーブルースと言い、世の中にはすごい呪力の持ち主がいるものです。

日本型組織に現れる幼児性の問題

 海洋汚染が発表されたおり、日本政府の関係者が揃いも揃って無責任な責任忌避発言を行ない、最後は首相が全責任は自分にあると明言するまで、国際世論がおさまらなかった事は皆様の記憶に新しいと思います。
この責任忌避の発言ですが、みな共通の属性を持っていました。
いくつか思い出すまま書き出すと、
① 政府の管理責任能力があるのか問われているのに、あたかも責任は前政権あるいは東京電力にあるような発言。 ー 仮にすべての原因が前政権、もしくは東京電力にあったとしても、管理が杜撰であって良いわけはなく、現政府の管理責任が逃れられるわけではない。
② 国会で、政府内の責任体制、つまりどの部署がどのような責任を負っている問われた際、 責任体制は定義されてないと答え、責任追及を逃れようとした。
③ 汚染水の海洋流出はないと明言していたのに、なぜ流出したのか?と問われているのに、流出量は僅かだと主張。
等々、露骨な責任忌避ですが、共通して、言い訳が非常に子供っぽいのです。
また、非常に印象的だったのが、原発事故のすぐ後ですが、国会で、直接原発を監督する政府機関のトップが国会で、自分は文系で原発の事はよく解らないと言って責任追及を逃れようとしたのも、同じ部類でしょう。

はたして責任と言う概念が彼らの頭に中に存在するのか思わず疑いたくなりますが、次回はこの問題について議論したいと思います。



2013年9月19日木曜日

OCEB講座 第31回 日本型組織と海洋汚染問題 その2

放射性物質による海洋汚染の問題が明らかになった時ですが、汚染の事実と同時に、政府関係者の相次ぐ無責任な発言が、国際世論を刺激し、大きな反発を浴びた事は、皆さんのご記憶にも新しいと思います。
そして結果として、汚染物質流失の経緯等の問題点や分析、対策等への説明責任は、現在、日本政府の事実上の国際公約となっており、議会の持つ強力な調査権の行使とともに高い優先度を持って早急に処理される事が期待されています。

従って、このブログでは、それ以外の話題、日本型組織の問題点について議論したいと思います。
というのも、今回の政府関係者の発言が、端無くも、日本型組織の問題点を如実に表しているように見えるからです。

2013年9月14日土曜日

OCEB講座 第30回 日本型組織と海洋汚染問題 その1

今から30年ほど前、筆者が大学生だった頃ですが、精神科医の故土居健朗先生が著された「甘えの構造」と言う書物が学生たちの間でベストセラーになったことがあります。
当時、筆者が通っていた大学の生協でも長い間 ーたぶん1年間以上ー この書籍が売上げトップの地位をキープしていました(当時、大学生協の店舗には書店ごとの書籍の売上げランキングが毎週貼り出されていました)。

「甘え」という日本では極めて一般的な単語が、西洋語では日常語としては存在せず意識の表層には現れて来ない概念である、という指摘が、当時の学生には大きな驚きでした。
日本人は、通常「甘え」という感情には極めて敏感であり容易に気づく事ができ、また日本人社会はその「甘え」を受入れ人間関係の構築の上でもよく利用しています。
しかしながら、「甘え」と言う言葉が西洋の日常語に存在しないからと言って、その感情が全くないわけではなく、幼児期などには当然あるわけですが、成長するにつれ他者依存を捨て自己自立を促すように躾けられ教育されて「甘え」の感情が抑圧された結果、意識の表層から消えてしまうようです(詳しくは、土居先生の著作を参照)。
従って、日本人の甘えの関係(甘え合う相互依存の関係)は、往々にして西洋人の目には非常に子供っぽく映るようです。
また、同じ日本人であっても、「甘え」の受入れ度合いは、かなり異なるようになって来ました。とくに、世代差が大きいように思えます。
これは、戦後、海外の映画やテレビドラマ、ポピュラー小説などがどんどんと国内に流入し、また、西洋人と日常的に交際する必要がある日本人達が増えて来ているためで、西洋人の自己の自立を良しとする文化の影響を多かれ少なかれ被って来ています。
筆者が新入社員だった頃を思い返すと、社内で、いい歳をしたオジサンやジイサン達(新入社員から見ると、五十代以上はジイサンに見えました)が 甘え合っている姿を見て気色悪いなと思っていましたが、今や、我々の世代が、若い人から見ると、そう言う風に映るようです。
筆者は職業柄、若い人とコミュニケーションをとる場面が多いのですが、若い世代は我々の世代以上に自立した人間関係のほうがクーゥ(Cool:カッコいい)と感じているようです。
 しかしながら、若者や筆者を含め多くの日本人は「甘え」の関係の美点、良さも認めています。
「甘え」の関係は、日本社会の美質の1つと言っていいでしょう。

海洋汚染問題について

ところが、この「甘え」の関係も、美点ばかりではありません。
 筆者は1年ほど前に原発事故の話を連続してこのブログで取り上げた事がありますが、最近しないのは、興味がなくなったわけではなく、報道されている情報がどの程度真実を伝えているのかおおいに疑問であり(この疑心暗鬼は、国内だけではなく海外を含む多くの人々に共通するものであり、いわゆる風評被害の根本原因の1つだと思います(悪い風評は海外にも広く伝わっています))、筆者のような一般人が想像力を逞しくして語るべき話題ではないと判断したからです。

 しかしながら、先日、汚染水が海洋に流出していると言うニュースが世界中を駆け巡りました。
 技術的問題とは別に、日本人には原発問題の管理責任能力があるのか? 事実をもとに科学的にマネジメントを行なう能力があるのか?と言う強い疑いの声さえ耳にするようになって来ました。

従って、今回は日本型組織の管理責任能力について述べて行きたいと思います。

次回に続く




2013年9月9日月曜日

SysMLの組織展開 その3

暑かった夏も終わり、朝夕は随分涼しくなって来ました。

OMGからOCSMPのモデルユーザー資格試験が日本語でリリースされた事を記念して、OCSMP対策講座を予定しております。
ご興味のある方はふるってご参加ください。

詳しくはこちら


教訓 2 ツールとプロセスがむしろ本質的な問題である。

モデリング・ツールの例として、ソフトウェア開発の例を挙げてみましょう。
というのも、システムは人間系を除けば、ハードウェアとソフトウェアから構成されますが、最近の開発では両者の開発の問題は急激にその類似性を深めて来ており、また開発プロセスも密着不可分の関係になって来ています。

例えば、問題の解決のためにあるモジュールに変更を加えたとしましょう。
幸いにも変更の程度は軽微でした。
さて、その変更の影響はどうでしょうか?
変更が軽微だからといって、影響も軽微であるとは言えない事は、読者諸賢の過去の暗い/痛い経験からもお分かりの事だと思います(失礼!)。
そこで影響を調べる上で、その調べるべき範囲を調べる事になります。
 まず変更が加えられたモジュールと直接関係するモジュール群を調べるのは当然として、さらにそのモジュール群と関係するモジュールへの影響はどうでしょうか?
そして、さらにそれらのモジュールと3次的に関係するモジュールは?4次的、5次的な影響は?と言う風に範囲は連鎖的に広がって行きます。
 小さいシステムの場合は良いとして、大きなシステムで膨大な量のコードを人手で追いかけて行くとなると「冗談は佳子さん(<注>佳子は”よしこ”と発音)」と言う事態に陥ってしまい品質の確保が難しくなって行きます。
 そこでツールを使用して影響範囲を調べる事になります。
人手でやると相当な時間がかかる作業もコンピュータだとあっという間に正確に処理されます。
実際、モデリング導入の成果として得られる品質や生産性の向上は、このツールの使用に負う所が非常に大きいのです。
またモデリング言語自身もツールで使用する事を大前提として設計されており、 ツールとのコラボレーションによってその威力を発揮します。
また複雑なシステムではソフトウェア開発とハードウェア開発プロセスのコラボレーションが必要になって来ます。
最近の研究では、価値を生み出すのはプロセスであると考えられています。
ツールとプロセスはマネジメントとして重視すべき項目である事は論を待ちません。



OCSMPモデルユーザー対策講座

- SysML - の資格試験であるOCSMPの受験コースを開催します。

OMG認定資格試験 OCSMPの入門レベルであるモデルユーザーの対策講座です。
従来は2日で行なっておりましたが、講義時間を1日に短縮し、問題演習をE-ラーニング形式で行なう形式で行なう事になりました。
  • 日時 次の2つのコースを現在予定しております。
    • 11月29日(金)  10:00〜17:00 もしくは
    • 11月30日(土)  10:00〜17:00 
次の2コースは定員到達につき募集終了
    • 10月28日(月) 10:00〜17:00  もしくは
    • 11月 2日(土) 10:00〜17:00
場所:東京神田地区

詳しい情報は、こちらまで(クリック)