2012年12月28日金曜日

OCEB講座 第20回 Why BPM ? 3


 昔読んだ随筆の一節ですが、アメリカの大学で政治史を教えているある先生が「今」が「昔」になった瞬間について次のように書かれていました。

『「今」の連続がいつの時点で昔となり歴史学の対象になるかは教師の間でも時々議論になるが、大学の教師として「今」が「昔」になったと感じる瞬間は、例えば第二次世界大戦は我々の世代では「今」の問題だが、新入学の学生達の大部分が戦後生まれだと気づいた瞬間に、一挙に時が流れ去って行ったことを感じる。』
(注: 記憶が曖昧で、大体このような文書だと思います。)

20年間前後を子供や学生として過ごし、ある程度共通の教育や時代を過ごし新たに社会人となった集団にある一定の共通性を見いだすことは、よくあることです。
筆者が学校を出た頃は、どこかの週刊誌が毎年、今年の新入社員は「〇〇世代」だと命名していて、筆者の世代は確か「新人類世代」と名付けられましたが、時は流れ、今現在、我々の世代がその共通性を維持しているか?と言うとかなり疑問です。
子供時代、学生時代よりも既に長い年月の職業経験を経た今、学生時代の共通体験よりも、それぞれの職業体験の特徴の方が遥かに前面に出ています。
筆者の学生時代の友人の中にも、日本の企業に長年務めている者、何をしてるのかよくわからないが東南アジアに住み着いている者、役人になった者、山小屋をやっている者、外資系でジョブホッパーをしている者(筆者を含む)等々、人それぞれ様々なタイプがいますが、学生時代に見られた共通性よりも学校卒業以降の職業時代の影響が強く、考え方、物の見方もかなりバラバラです。
では、世代的な共通性が皆無かと言うとそうでもなく、昔週刊誌がやっていたような1年単位の世代差は意味がありませんが、前後10年ぐらいの幅で職業人として同じ時代を共有したと言う点で、ある程度の(大局的な、あるいは大雑把な)共通性があるように思えます。

 (続く)

2012年12月19日水曜日

OCEB講座 第19回 Why BPM? 2

鎌倉は住民の歴史的景観に対する保護意識が強く高層マンションなど高い建物が建てられません。
ところが面白いことに電柱は建て放題で、カメラをどこに向けても電柱や送電線が画面を横切ります。
また、電線や土管を埋めたりするために、道路をしょっちゅう掘り返しています(これは、景観とはあまり関係ない問題で、鎌倉だけの問題ではありませんが)。

筆者はこのブログで何度か触れたように、昔ネットワーク関係の仕事に従事していたことがあり、職業柄ライフラインには結構興味がある方です。
ご存知の通り、通信回線はライフラインとしては一番の新参者であり、先行のライフラインである道路、水道、鉄道、電力線などに、できるだけ沿って敷くのが通例です。
そして、その敷設の仕方は国や地域によってかなり特徴が出ます。
筆者が昔勤めていた電話会社は、アメリカのテキサス州の油田間に張り巡らされた石油パイプラインに沿って電線を敷いて急成長を遂げたベンチャー系通信会社が母体でした。
また、90年代にヨーロッパやアメリカの都市部に光ファイバー網(いわゆる、MAN = メトロポリタン・エリア・ネットワーク)を敷設することで急成長したベンチャー企業に関与していたこともあります。 
周知の通り、ヨーロッパの都市は1000年以上前からずっと都市だった場所が多く、ちょっと掘ると必ず何か埋蔵物が出て来るような場所柄ですが、だからといって電信柱を建てて電線を空中にはわせるのではなく、通信回線は電力線と同様に基本は地下に敷設していました。
そして、このベンチャー企業は新規の掘削をできるだけ少なくするために最大限、都市には必ずある”もの”を利用していました。
そのある"もの”とは、都市を象徴する巨大な建造物であり・・・と書くと、何かクイズ番組のようになってしまいましたが、答えは下水道網です。
有名な例では、パリには全長2100Kmにもわたる壮大な下水道網が存在し、その地下空間を下水だけでなく、上水道管を通し、また都市ガス網、通信網、電力網として利用させています。これらの利用料はパリの水道事業の収益金となっています。
(こういう社会インフラが利用できたので、資金力の乏しいベンチャー企業でも通信網を自前で敷くことができたとも言えます。)

下水道に関する古い例では、古代ローマでは既に紀元前700年頃には下水道があったと言われており、一説には古代メソポタミア文明の都市遺跡には紀元前2500年前の下水道跡が見られると言われています。
文明と都市の発生は分離不可分の関係にあり、そして都市と下水道とはきわめて密接な関係があり、 従って、文明とは下水道を流れる”し尿”のようなものです。

冗談はさておき、日本では江戸時代までは下水道はほとんど発達してきませんでした。
日本最大の都市であった江戸でも上水道やゴミ処理の問題は当時大きな都市問題になっていましたが、下水道はほとんど話題になっていません。
きっと発生した”し尿”は人肥として農村へ還流したり自然へ投棄したりして何とかなっていたのでしょう。
これは多分、当時の江戸の都市化の速度が緩やかだったおかげだと思います。
 人肥の利用はヨーロッパでも行なわれていましたが、都市化の波が急速でそれだけでは処理が到底追いつかず、下水道が未発達だった頃のパリのおしゃれな街角が実は糞尿だらけだったと言う話は日本でもよく知られています。

続く


2012年12月6日木曜日

OCEB講座 第18回 Why BPM? 1 官僚主義

彫刻の森 秋
先日、紅葉を見に箱根まで行って来ました。
もともと家を出た時点では丹沢の大山へ行くつもりで、山麓の伊勢原駅まで行ったのですが、大山へ向かうバス待ちの列があまりに長く、また全く進まないのに嫌気を来たし、箱根湯本まで転進しました。
そして、登山列車(箱根湯本ー強羅間)に乗り換えようとしたのですが、ここもすごい長蛇の列で、あきらめて家に帰ろうかと思ったのですが、ぐっとこらえ30分ほど待っていると一挙に列が進みあっけなく登山列車に乗ることが出来ました。

<Why BPM? 1 >

本日はなぜBPMをやるのか?と言う点を議論したいと思います。
というのも、BPMを従来のワークフロー・マネジメントと同じもの、あるいはその延長線上のものと思いこんでいたり、あるいは実際にBPMNでモデリングを行なっていても、間違った思い込みのもとに運用を行なう例が筆者のまわりでもかなり見受けられるからです。

官僚主義

現代の日本の大組織を官僚主義の大波が襲っていることは明らかでしょう。
官僚主義の典型的な症候である規則や手続きの万能主義、日常的な仕事量の増大傾向(仕事があるから人が増えるのではなく、人がいるから仕事が増える等)、責任の所在の不明確化、事なかれ主義、前例主義、セクショナリズム・・・等々、揚げ始めたらキリがありません。
大組織に所属していながら気づかない人は、一度、箱根で静養した方が良いかもしれません、と言いたいところですが、 残念なことに、と言うべきか驚くべきことにと言うべきか、多くの人々に取っては、官僚主義はすでに空気のような存在になってしまっています。


続く