オーケストラと指揮者 |
筆者自身も昔、バブルの頃、所属していた組織の状況が急変し、みるみるうちに後手後手のモードに陥り墜落していく姿を内部から目撃した経験があります。
しかし、それを語る前に、まず組織の(情報)モデルについて触れたいと思います。
組織は船に良く例えられます。大きな船は ー 例えば航空母艦のように ー、規模の経済(スケール・メリット)が効く分野の利益を最大限享受でき、大波や強風にも強く安定的で、強大な攻撃力を持ちえますが、同時に、様々な弱点があります。
いくつか上げると、まず、大きな船は自身の慣性力が大きく、急な動作が不得意であり、急激な進路変更や発進・停止ができません。
組織で言えば、大組織は、たとえ官僚主義が蔓延していなくとも、小部隊に比べると動作が遅く機敏さが欠けます。
しかし、一旦動き出すと、その力は極めて強大であることは言うまでもありませんが。また航空母艦は攻撃能力は非常に高いのですが、その反面、防御能力が弱く、自身単体で自分を守ることが殆どできません(機敏な動きができない大きな図体の船が、チャプチャプとのんびりと海洋に浮かんでいるわけであり、敵にとっては一撃で倒せる格好の標的になります。
こういうわけで、空母が単独で行動することは通常はなく、大小の多くの軍艦や潜水艦、航空部隊などを引き連れて艦隊を構成して進軍します。
したがって、大規模な艦隊の司令官は、早め早めに指示を出すことが要求されます。曲がれと指示を出してから、舵を切り、実際に巨船が曲がり始め、最後尾の船が完全に曲がり切るまでに相当の時間がかかり、その間、艦船は慣性力であさっての方向に進んでしまうからです。
このように大組織のトップは、オーケストラの指揮者のように、演奏中の音よりも何拍か先を振ったり、何拍か先を指示したりする必要があります。(さもないと、指揮者は、単にオーケストラの前で棒振りダンスをしているだけの存在になってしまいます。)
巨額な費用をかけた艦隊(組織)が、リーダーの遅い指示のために、ドジでのろまな亀(バブル時代のテレビドラマ参照)になるリスクがあるわけです。
続く
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